• 作家・編集・校閲が『校閲ガール』を語る!「地味にスゴイ!?校閲ナイト!」レポート【前編】

    2017年02月28日
    本屋を歩く
    ほんのひきだし編集部 浅野
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    2016年12月13日(火)、「地味にスゴイ!?校閲ナイト!」が文禄堂高円寺店で開催されました。

    登壇者は、ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の原作である「校閲ガール」シリーズの作者・宮木あや子さん、編集担当の岩橋真実さん(KADOKAWA)、校正・校閲専門の会社「鴎来堂」で代表を務める柳下恭平さんの3名。

    トークイベントは「校閲ガール」誕生当初のお話から始まりました(イベント概要はこちら)。

     

    作家・編集者・校閲者が一堂に会した「校閲ナイト」

    ――本日は作家さんと編集者さん、校閲の方が書店に一堂に会するという珍しい会となっています。まずはお三方の関係についてお伺いしたいのですが。

    柳下恭平(以下、柳下)私は「鴎来堂」という校閲の会社を経営していて、「校閲ガール」シリーズでは2作目の『校閲ガール ア・ラ・モード』と、3作目『校閲ガール トルネード』の校閲を担当させていただきました。またドラマ化にあたっては、「校閲者の机にはどんなものがあるんだろう」とか「どんな辞書を使うんだろう」とか、そういったところを実際に見せるので、監修という形でも関わらせていただきました。「地味にスゴイ!」はDVD化もされるんですが、パッケージ制作がたまたまうちのお取引先だったので、その校閲もしています。結果的には原作小説、ドラマ、そしてDVD、全部“校閲”させていただくことになりましたね。

    もともと校閲の存在は知らなくて、編プロで編集の仕事から入ったんです。でも、ギャラのやりとりを始めるともう、校閲の話は入ってくるわけですよ。この仕事のことはその時に知りましたね。

    岩橋真実(以下、岩橋)私はもともと、メディアファクトリーで雑誌「ダ・ヴィンチ」の編集部にいまして(※)。第1話は別の者が担当していましたが、「連作短編として本にしましょう」というところから私が担当しています。ダ・ヴィンチ編集部は、雑誌をやりつつ書籍も編集するというやり方なんですよ。

    ※第1作『校閲ガール』の単行本は、「ダ・ヴィンチ」2013年9月号とウェブサイト「ダ・ヴィンチ電子ナビ」(当時)に掲載された全4話に、書き下ろしの第5話とエピローグを加えて刊行された。

    岩橋:ドラマ化のお話をいただいたのは、結構前でした。「じゃあ続編を」ということで『校閲ガール ア・ラ・モード』と『校閲ガール トルネード』を書いていただいて、今に至ります。

    柳下:岩橋さん、粘り強そうですもんね。

    岩橋:宮木さんには無理を聞いていただきました(笑)。

    宮木あや子(以下、宮木)1冊目『校閲ガール』の第5話を書かなきゃいけなかった時期が、平安時代を書いた小説の文庫が出るというので(『泥ぞつもりて』)、そのゲラを直す時期と被っていて。その平安時代のゲラの直しが、まあ大変だったんですよ。平安前期が舞台なので資料がなくて、しかもデビューしてすぐくらいに書いた小説だったから、文章が自分でも呆れるくらい下手くそで、全面的に直さなきゃいけなくて。そんな時に、『校閲ガール』の最終話を書かなきゃいけなかったんですよね。

    『泥ぞつもりて』は文藝春秋から出ている本なんですけど、文藝春秋には缶詰室があって、そこでまず2泊。でも2泊じゃとても終わらなくて、「あと1泊お部屋を押さえてほしい」と言って、朝6時くらいにやっと文庫のゲラ直しが終わりました。お部屋にいられるのは夕方5時までだったから、あと12時間くらいでこれ(『校閲ガール』第5話)を書かなきゃいけない。それで夕方4時くらいまで頑張りましたが、初めて泣きながら「終わりません!」って(岩橋さんに)連絡しましたね。あの時は首をくくろうかと思いました。

    岩橋:ええっ、ごめんなさい、全然覚えてない……(苦笑)。こちらとしては状況が分からないほうが困るので、「間に合いません」とお知らせをいただけるのはありがたいんです。

    宮木:そういう経緯があって平安時代を引きずってるから、『校閲ガール』第5話の最初は若干“平安口調”というか、すごく真面目な感じになってるんですよね……(笑)。それでやっと第5話も書けて「終わった!」と送ったら、岩橋に「ありがとうございます、では、次はエピローグをお願いします」って言われて。この鬼具合!

    岩橋:でも、エピローグ書いてよかったと思いませんか? よかったですよ。

    宮木:(エピローグを依頼してきた時)まだ読んでなかったでしょう?

    岩橋:いえいえ、読んでましたよ。

    宮木:第5話原稿受領のお知らせとともに「お疲れ様でした、それでは次を」とお願いされたから……。

    岩橋:エピローグをお願いしたいというのはもともと考えていましたが、(当時)本当にお辛そうだったので、たぶん「第5話のゴールが見える前にエピローグの〆切をお知らせしては、心が折れてしまう」と思ったんですね。無事間に合ってよかったですが、鬼スケジュールですみませんでした!

    校閲ガール
    著者:宮木あや子
    発売日:2014年03月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784040663630

     

    『校閲ガール』は全編ミステリー小説になる予定だった!?

    ――『校閲ガール』を執筆された時って、取材はどれくらいされたんですか?

    宮木:がっかりされると思うけど、3回しかやってないんです。ゲラを通じてのやりとりはありますが、お話を伺ったのは3人だけ。私は取材をすごくするタイプなんですが、しすぎると全部書きたくなっちゃうんです。もともとSEとして細かい仕事をしてたから、取材をしたことをそのまま処理してアウトプットすると、技術書みたいになっちゃうんですよね(笑)。

    それは物語では、やってはいけないじゃないですか。人に読ませる文章を書かなきゃいけないんで。なので、取材をあまりしないようにしました。「ダ・ヴィンチ」って若い子から高齢の方まで読む雑誌だし、(読者には)本は好きだけど、どちらかというと重い本ではなくてライトな本が好きという人が多いなと思って。

    岩橋:宮木さんは『校閲ガール』に限らず、常にすごく読者層を意識してらっしゃるんです。

    宮木:だから新規で依頼をいただいた時は、想定している年齢層や男女比を聞いて、それに合いそうなものを書いて出してます。だから作風がバラバラなんですよね。『校閲ガール』は、まず物語ありき。1話書いた後にベテランの校閲者を取材したんですが、その順序でよかったなと思いました。全体の取材回数も、今振り返ると3回がちょうどよかったと思います。

    あと実は、もともと『校閲ガール』って、「ダ・ヴィンチ」じゃなくてミステリーが得意な早川書房に出すつもりで書いたものだったんですよ。

    岩橋:第1話をお読みになった方は分かると思うんですけど、原稿にある謎を悦子が解くという構成になってるんですよね。

    宮木:本当は全編ミステリーにしたかったけど、そこまで思いつかなかったのよ(苦笑)。

    岩橋:結果的には、ミステリー的な要素もあれば色んな物語の形式が含まれた形になって、よかったと思っています。2作目の『校閲ガール ア・ラ・モード』はスピンオフですけど、初めて読んだ時は「こうきたか」と思いましたね。

    宮木:1冊目を出した後すぐにドラマのお声掛けがあったんですが、ちょうど日テレで働いている友達がいたので「『校閲ガール』がドラマ化するんだって」「続編を書いてよって言われたけど、何もネタがないよ」って言ったら、「そういう時はスピンオフを書いておけ」ってアドバイスしてくれたんですよね。

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