• 『本屋、はじめました』 Title店主・辻山さんによる“本屋をはじめるための参考書”

    2017年01月23日
    本屋を歩く
    ほんのひきだし編集部 浅野
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    東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」の店主、辻山良雄さんが、この度初めての著書『本屋、はじめました』を出版されました。

    Titleは荻窪駅から徒歩10分強のところにある、本とカフェとギャラリーのお店です。2階建ての一軒家を改装し、1階に本屋とカフェ、2階にギャラリーを構えます。

    出版不況が叫ばれて久しい昨今、個人が新刊書店を始めるというのは珍しく、出版業界内では開店前から大きな話題になっていました。

    本書の刊行は、オープンからちょうど開店1周年を迎えた2017年1月10日。全国の書店には、1月下旬頃に並び始める予定です。

    本屋、はじめました
    著者:辻山良雄
    発売日:2017年01月
    発行所:苦楽堂
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784908087059

     

    店には、店主の通ってきた“道”が表れる

    「店には自分の通ってきた“道”が表れるものだ」という辻山さん。『本屋、はじめました』は、そんな辻山さんの“道”をたどることができる内容となっています。

    子どもの頃の思い出に始まり、学生時代や、リブロに入社以降に福岡、広島、名古屋、池袋本店と勤務したそれぞれのエピソードを経て、Title開店準備、そして開店からの1年間へ。辻山さんが本や本屋とどう関わってきたのか、どんなことがあって、何をしてきたのか……訪れたことがなくても、Titleの佇まいが立ち現れてくるような一冊です。

    ▼装画は、吉野有里子さんによる切り絵。中に挟まれているしおりも、吉野さんによるものです。

    本書にあるエピソードの中でお気に入りのものを辻山さんに尋ねたところ、「昨年の夏、台風が来た時の一節が気に入っています」と紹介してくださいました。

    その日は関東地方を台風が直撃しており、営業しても無駄になるだろうと思いながらも、とりあえず店の無事を確認するため出勤。結局普段通り店を開け、夕方には少し天気が落ち着きましたが、それまでに来店したお客様は2人ほどだったそうです。

    そして夜。ぽつぽつと増えてきたお客様は、皆どこかほっとしたような表情を浮かべていたそう。

    「その時に『本屋は人が来なくても、待ってなきゃいけないんだ』とあらためて思いました」(辻山さん)

    筆者にとっては、かつて辻山さんがおっしゃっていた「わざわざ訪れる本屋もあるけれど、近所の人にとっては、本屋は特別ありがたいものではなく、当然そこにあるもの」「Titleが荻窪の街に溶け込んだ本屋になるといい」という言葉を思い出すエピソードでもありました。

    ▼当時のインタビュー記事はこちらで読めます。

    「自分の暮らす町にあったらいいなと思う本屋」 新刊書店「Title」まもなくオープン

     

    事業計画書や営業成績表も!
    きわめて具体的に書かれた「本屋をはじめるための参考書」

    読み進めて驚くのは、荻窪の古い一軒家で店を始めるに至った過程、店名やロゴの決め方、商品の仕入れ方や本の選び方、カフェの進め方まで、「何をしたか」「どのようにしたか」「なぜそうしたか」「どうなったか」が非常に具体的に記されていることです。

    それだけでなく、本の最後には事業計画書と営業成績表が公開されており、本に登場する人名・書名・組織名・事項名を探せる索引までついています。

    「『朝に荷物が届いて、売り場に出して、返品するものが出たら返品する』というのは私にとっては普通のことですけれど、事細かに文章にすることが、この世界をご存知でない方には『そうか、そういうものなんだ』という発見になると思うんです」

    「給料なんかも書いてありますよ(笑)。でも他の人が同じことをやっても同じにはならないので、私にとっては見せても見せなくても同じです。誰かの役に立つなら、と公開しています」

    「“自分はこうやりました”というものを出して、それが全然会ったこともない誰かの参考になれば、それは喜ばしいことだと思います」(辻山さん)

    また“名書店員”の一人として知られ、京都・河原町丸太町で「誠光社」を営む堀部篤史さんとの対談も必読です。どんなふうにお店をやっているか、今までにどんなことがあったか、また「本屋をやりたい」と思っている人たちに対して思うことなどが語られています。

    13年店長を務めた恵文社一乗寺店を退社し、2015年11月に誠光社を始めた堀部さんと、18年間のうち6年間をリブロ“池店”のマネージャーとして務めた後、2016年1月にTitleを始めた辻山さん。

    “名店”として知られる書店から同時期に独立したお二人ですが(ちなみにお店の広さも同じくらいだそう)、辻山さんご自身も対談してみて「出来上がった店の違いはあっても、あんまり考えてることは変わらない」という印象を持ったといいます。

    まさに「人が違えば同じ店にはならない」。一方で、「誰かがやった通りのことをやっても、決して自分の思った通りにはならない」ということもわかる対談です。

    ***

    開店からの1年を振り返り、「幸いにも大きく店をいじったり、予想外だったりしたことはないです」「場所を作ってやっていく中で、お客様や関わる人たちに合わせて店も変わっていく。これからもTitleはそんな感じだと思います」とおっしゃる辻山さん。

    2月9日からは2階のギャラリーで、本作りの過程を展示する「本づくり協会フェア 荻窪 Title」が始まります。

    また今回ご紹介した『本屋、はじめました』は、Title店頭およびWEB SHOPで購入すると、開店から2016年12月31日までに更新された「毎日のほん」をまとめた冊子がもらえます。

    詳しくはTitleの公式ホームページ等でご確認ください。

     

    本屋 Title(タイトル)

    所在地:〒167-0034 東京都杉並区桃井1-5-2【MAP
    営業時間:11:00~21:00(2月より12:00~21:00)※カフェのラストオーダーは20:00
    定休日:毎週水曜・第3火曜

    http://www.title-books.com (TEL.03-6884-2894)

    ▼こちらでTitleオープン当時の紹介記事が読めます。

    ふと立ち寄りたくなる本屋さん「Title」が荻窪にオープン

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