「カレーの玉ねぎを細かく切る必要はあるのか?問題」にひそむ、売れるカレー本のヒント―「curry book project」vol.2レポート(後編)

2016年12月03日
本屋を歩く
ほんのひきだし編集部 浅野
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「東京カリ~番長」の水野仁輔さんと、数々のヒット作を世に送り出してきたアスコムの柿内尚文さんが「新しくて・売れる」カレー本について考える「curry book project」vol.2。レポートの前編で、一過性の流行としてブレイクする本と普遍的な長く売れる本という両極があるなか、「流行の種になるような本を作りたい」と答えた柿内さん。後編では実用書に対する柿内さんの哲学に迫りつつ、水野仁輔さんとどんなカレー本を作りたいかを考えていきます。

前編:東京オリンピックの時、カレーはどういう存在であるべきか

 

「実用書にも、感動が必要だ」

水野仁輔(以下、水野)でも柿内さんは本を作る時、(一時的にブレイクするようなテーマではなく)プラットフォームになるようなものを探すわけでしょう?

柿内尚文(以下、柿内)実際は、カレーを作る人に「とんかつを作ってみてほしい」と言うようなこともしてますよ(笑)。『聞くだけで自律神経が整うCDブック』は、書店でとんかつを売ってやろうっていう試みなんですよね。先ほども少し言いましたが、これは本ではなくてCDを作ろうと思って作ったものなんです。このCDはCDショップで売ったら埋もれてしまうだろうけど、書店でなら違う見え方をするんじゃないかと。ちなみにこれに近い感覚で、カレーの企画を考えてきたんですが。

水野:おおーー!

柿内:スーパーマーケットに行くと、レトルトのカレーがいっぱい売られているじゃないですか。それでこの間、レトルトカレーが本みたいに背挿しで売られているのを北野エースで見たんですよ。サイズも似てて、ポップもついてる。その逆で、書店でレトルトブックを売るのはアリなんじゃないかと。おいしくカレーを食べられるような情報や物語がついている、レトルトカレー。

水野:それはいいですね! カレーって、カレーの話をしているだけでカレーが食べたくなるんですよね。レシピにしろ物語にしろ、本でカレーに触れたらきっとそのカレーが食べたくなると思うんです。レトルトブックは、その「食べたい」と思ったところを商品にしているところがいいですね。

ちなみに前回、「curry book project」の参加者アンケートで「あなたが欲しいカレー本はなんですか」っていう質問をさせてもらったんですが、柿内さん、なんて答えたか覚えていらっしゃいます?

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柿内:あの時は僕、観覧者として参加していたんですよね。何だったかな、物語っぽい感じだったような……。

水野:「日本の一番南にある、小さなカレー屋さんの奇跡」って書いてくださってるんですよ。

柿内:ああ、そうだ! タイトルだけ思いついて、書いたんですよね。

水野:この物語、読んでみたいじゃないですか。でもこれを読んだ後に「これがそのカレーです」って本にカレーが付いていたら、最高じゃないですか? 柿内さんが物語を書いて、僕がレトルトカレーを作るっていうのはどうでしょう。

柿内:僕は物語を書く力は無いので、作家さんとコラボレーションするのがいいんじゃないでしょうかねえ。

水野:そうしたら欲張っちゃいますが、カレーのショートストーリーをいろんな作家さんに書いてもらって、僕がそれにあわせたレトルトカレーを開発して、それを「レトルトブック」として並べたらどうですか?

柿内:おお! いいですねえ。

水野:僕、柿内さんが「実用書は実用的なだけではだめだ。実用書にも感動が必要だ」っておっしゃってたのがすごく印象に残ってるんですよ。レトルトブックは感動を与えられる本になるかもしれないですよね。

柿内:映画になったりしたら一層面白そうです。

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