• 都築響一×鹿子裕文トークイベント「はみ出した先に見えてきたもの」レポート

    2016年04月12日
    本屋を歩く
    ほんのひきだし編集部 浅野
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    『圏外編集者』の都築響一さんと『へろへろ』の鹿子裕文さんを招いて行われたトークイベント「はみ出した先に見えてきたもの」。異なるスタイルながら“1人でプラットフォームを作り情報を発信する”という共通項を持つお二人の、それぞれの過去や今興味のあるものは一体何なのか? ほんのひきだし編集部がイベントの内容をレポートします。

    イベント概要はこちら

    圏外編集者
    著者:都築響一
    発売日:2015年12月
    発行所:朝日出版社
    価格:1,782円(税込)
    ISBNコード:9784255008943

    都築響一
    1956年、東京生まれ。76年から86年までポパイ、ブルータス誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事をおもに担当する。89年から92年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている。1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。1996年発売の『ROADSIDE JAPAN』で第23回・木村伊兵衛賞受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中である。

    「roadside diaries」より)

    へろへろ
    著者:鹿子裕文
    発売日:2015年12月
    発行所:ナナロク社
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784904292648

    鹿子裕文
    1965年福岡県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。ロック雑誌『オンステージ』、『宝島』で編集者として勤務した後、帰郷。『シティ情報ふくおか』編集部を経て、1998年からフリーの編集者として活動中。2013年、「宅老所よりあい」という小さな老人介護施設で起きているドタバタのみを取り上げる雑誌『ヨレヨレ』をひとりで創刊(現在第4号まで発行、累計1万4000部を突破)。杉作J太郎が率いる「男の墓場プロダクション」のメンバー。人生でもっとも影響を受けた人物は早川義夫。

    (『へろへろ』著者プロフィールより)

    ▼写真左が鹿子裕文さん、右が都築響一さん

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    「宅老所よりあい」誕生の背景

    都築:『へろへろ』と『圏外編集者』は本屋でよく並んで売られているんだそうですが、僕たち自身は、お会いするのは初めてなんですよね。

    鹿子:そうなんですよ。

    都築:でも不思議な縁があって。鹿子さんの雑誌「ヨレヨレ」のイラストを描いているモンドくん。「ボギー」という福岡でずっとミュージシャンをやっている方の長男なんですが、モンドくんが描いた絵を1日1枚ブログにアップしているのを僕が見つけて、面白いなと思って取材させてもらったことがあるんです。そこからお付き合いが始まったんですけど、「今度福岡の雑誌で表紙をやることになったんですよ」といって教えてもらったのが「ヨレヨレ」だったという。

    鹿子:僕、あれすごくくやしかったんですよね(笑)。僕はボギーくんのライブ会場で、モンドくんが投げ銭で似顔絵屋さんをやっていたころから目をつけていたんです。それで、「いつか何かの仕事で絶対モンドくんの絵を使おう」と思っていたんですけど、その頃は僕、仕事を干されていたので(笑)、結局都築さんがその取材で初めてモンドくんの絵を世に出したわけですが。

    都築:ちなみにモンドくんはパルコ出版から作品集も出していますので、ぜひ。

    鹿子:瀬戸内寂聴さんの『死に支度』の表紙も描いていますね。

    モンドくん
    著者:奥村門土
    発売日:2014年07月
    発行所:パルコ出版
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784865060812
    死に支度
    著者:瀬戸内寂聴
    発売日:2014年10月
    発行所:講談社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784062191357

    都築:そんなわけで、モンドくんという小学生が、僕たちの架け橋となっているわけです。同じ時期に本が出たという共通点もありますね。
    ちなみに『圏外編集者』の装画は画家の大竹伸朗さんが、買いたてのiPadのお絵描きアプリを使って指で描いたもので、なぜか画像のデータサイズが70KBくらいしかないんです。これ見てください、結構粗いでしょう。

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    鹿子:これ、70KBの画像のまま表紙にしたんですか。すごいなあ。

    都築:そう。でもこんなふうに、表紙になっちゃうわけです。モンドくんもそうですけど、道具や材料のよしあしは作品の本質じゃないわけで、身近なもので適当にやってみるのがいいですよね。

    鹿子:『へろへろ』に書いた「宅老所よりあい」も、もともと施設があって始めたわけじゃないんですよ。普通は施設を作って、それから入居者の募集をかけるんですけど、「よりあい」の場合は順番が逆なんですね。

    都築:刊行されたときに『へろへろ』を読みましたが、悲壮感がないのが印象的でしたね。

    鹿子:「宅老所よりあい」は「大場さん」という、壮絶なおばあさんが事の発端になっているんです。まず、髪の毛が腰くらいまである。それでパンツを履いてないもんだから、よろよろ歩きながらおしっこを垂れ流したりする。食べ物も大量に買い込んで、そのことを忘れてしまうから、腐敗臭がすごい。しかも3年くらい風呂にも入ってなかったみたいなんですね。

    都築:それはすごいですねえ。誰も何も言わないんですか?

    鹿子:近隣住民からも苦情が入っていたので、地域の介護福祉士さんが何度も訪れてはいたんです。それであるとき「下村さん」という方が大場さんのところに行くことになったんですが。

    都築:下村さんというのが、「宅老所よりあい」の生みの親ですね。

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